ポロの森の保全と、鹿の影響

ポロの森の保全と、鹿の影響

皆さまこんにちは。こんばんは 。
私たちが『三角公園』と呼んでいる場所は、シカによる深刻な食害被害の対策としてエリア周囲を防護ネットで囲い、下層植生の変化を調査している試験地でもあり、私たちが目指す適切な密度管理による永代木施業のモデルとするために管理している場所です。

最近、三角公園にシカが柵の一部を壊して、中の植生を荒らしている形跡を発見。
皆で防護柵の修繕・補強をおこないました。

シカの食害がなければ、新緑が茂る夏前にはこうなります。
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↑山菜でお馴染みタラノキや、野イチゴ類、サンショウやクロモジ、ユリの仲間等々…たくさん生えています!
そして、防護柵をしていない場所の下層植生はこのような感じ。
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似たような時期でこれだけの差があります。
三角公園では、調査している限りでシダ植物から木本類まで合わせて110種以上の植物が生育しています。(数種植栽あり。)
しかし、防護柵をしていないエリアではシカが食べない「アセビ」や「マツカゼソウ」等の限られた植生しかなく、何も生えていないという場所も少なくありません。

シカの食害被害の現状は、生物多様性の面でもマイナスですが、写真のように下層植生が極端に少なく地面が露出すると、
・降雨時に雨が直接地面に当たりやすくなり、土が流されえぐれやすくなる
・土中の乾燥化が進み地下水が減ったりと水分不足になる
・地面の保水力が低下し、大雨時に洪水や土砂災害が起こりやすくなる
等のデメリットが出てきます。

(↑過去の台風被害の様子)

シカの食害は、私たち林業界の育てた木が食べられたり傷つけられたりして経営に支障をきたすだけでなく、森林の水土保全機能にも影響を与えかねないほどの深刻さでもあります。

かと言って、全てをシカのせいにするのも良くありませんよね…

人間がもともとあった森林の大部分を伐採してスギ・ヒノキ林に変え、シカをはじめ野生動物の食べ物や住処を奪ってしまったことも大きな要因の1つでしょうし、考えられる要因はいろいろあって複雑であり、誰のせいにすることもできません。

なので、私たちが柵張りという手段を取ったようにその都度現状から適切な対策を考え学び、付き合っていくしかないのです!

自然を相手にする醍醐味ですね!?

防護柵のおかげで6~7年前に先輩方が植菌した原木シイタケが豊作で、皆で分けていただきました